もちむぎのお話

これであなたも「もちむぎ博士」

年中行事や冠婚葬祭、祭り等の「ハレ」の行事食としてのモチ
毎日三度、日常の「ケ」の食事としてのウルチ

民族の伝統を今に伝えるモチ性の穀物のひとつ「もちむぎ」の復活

「ハレとケ」とは、柳田國男によって見出された、日本人の伝統的な世界観のひとつ。
ハレ(晴れ、霽れ)は儀礼や祭、ケ(褻)は普段の生活である「日常」を表しています。

もちむぎはどこから来たのか

オオムギに属するもちむぎの歴史はとても古く、紀元前3,000年頃までに西南アジアで栽培化され、その後ユーラシア大陸全土とアフリカ東北部に広く伝わりましたが、現在は、日本・中国・朝鮮などの東アジアでしか栽培されていません。
日本では中国地方・四国地方・瀬戸内海に面した諸県と九州北部の諸県に僅かに栽培され、自家用として食されて、「もちむぎ」「だんごむぎ」などとよばれ、親しまれてきました。
播州福崎でも、もちむぎは古くから栽培され「福崎町八千種で黒紫色の麦を粉にして「だんご」として食べていた」と聞きます。
栽培は昭和30年頃には食生活の変化により衰退していましたが、昭和61年から鍛治屋地区で試験栽培を行い、加工食品などの研究を重ね、福崎町の特産品として見事復活を遂げました。
現在では、学校給食の食材としても使用され、広く町民に愛されています。

モチ性の穀物 もちむぎ

モチ(糯)とウルチ(粳)

イネ科穀類の中で貯蔵澱粉がモチ性のものが7種あります。

  • イネ

    イネ(稲)

  • アワ

    アワ(粟)

  • キビ

    キビ(黍)

  • ハトムギ

    ハトムギ(鳩麦)

  • モロコシ

    モロコシ(蜀黍・唐黍)

  • オオムギ

    オオムギ(大麦)

  • トウモロコシ

    トウモロコシ(玉蜀黍)

(’95東北農試は モチ性小麦「もち小麦」を開発したと発表)

貯蔵澱粉には、粘り気が少ないウルチ性(粳性)、粘り気が多いモチ性(糯性)の物があり、もちむぎはモチ性に属します。
ウルチ性はデンプンの成分のうちアミロース(amylose)の含有割合が比較的多いのに対して、モチ性のもちむぎはアミロペクチン(amylopectin)の含有割合が多くなっています。

もち米は、アミロース含有量がほぼ0%であるのに対して、もちむぎは品種によってアミロースを2~6%含んでおり、粘りの程度が異なります。

もちむぎ《植物としての形態》

もちむぎが裸麦であることや成熟してくると紫色が多いのは、脱穀しやすいこととモチ性とウルチ性を外見的に区別できるよう選抜や育種がされた、と考えられています。

※モチ性あり
☆葉・茎・穎果・穀粒に紫色あり

植物としての形態